Saya Cinta Malaysia

マレーシアの文化や今昔のマレーシア旅。マレー系夫との国際結婚あれこれ。

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キャメロン ハイランドが舞台となった小説『熱い絹』

皆様、こんにちは。

 

今日はマレーシアを舞台にした小説のご紹介です。

 

 

【社会派推理小説作家が綴った作品『熱い絹』】

 

私の好きな作家の一人に故・松本清張さんがいます。社会派推理小説で有名な作家で、代表作は『点と線』や『日本の黒い霧』。近年ではドラマ化された『黒革の手帖』や『砂の器』も知られていると思いますが、それ以外にも数々の名作を生み出しています。入念なリサーチの元に執筆された作品が多く、とても面白い作品ばかりです。まさに現代を代表する名作家だったと言えるでしょう。

 

そんな清張さんの作品のひとつに『熱い絹』という作品があります。1972年に連載がスタートし、その後改稿を経て1985年出版と古い著書ですが、マレーシアに精通されている方なら一度は耳にしたことがあるであろう作品。

 

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『熱い絹』/松本清張著/講談社

 

 

 

【実際に起こったタイのシルク王失踪事件が題材となっている!】

この作品は、1967年にマレーシアの避暑地として名高いPahang州(パハン州)のCameron Highlandsキャメロン ハイランド)で実際に起きたタイのシルク王ジム トンプソンの失踪事件を題材にしており、そこに架空の設定を色々と加えて大胆な推理も交えた内容になっています。実際に起きた失踪事件が題材となっていますが、今もってその謎は解明されないまま。そう、ジム トンプソン本人は未だ行方不明のままです…。そういった要素から読んでもとても興味深い作品です。

 

 

【今は感じることのできない昔のマレーシアの雰囲気を味わえる】

 

さらにはマレーシアの地名や文化について綴られているシーンも数多く、マレーシアが好きな私としてはその点も興味深いです。そもそも最初に執筆連載されたのが1972年というかなり昔です。その頃のマレーシアを知る人はそうそういないでしょうし、その頃のマレーシアは今のような発展を遂げる前の国ですので、町や食事の様子についての描写もなかなか興味深いです。

 

今の私達の感覚で読んでいると若干無理矢理な感が否めない部分もあったりしますが…、清張さん特有の陰りの漂う文体や作品ムードが、陸の孤島とも言える熱帯ジャングルの雰囲気とマッチしていて、その世界にグイグイと引き込まれます。

 

【最後に】

 

もしまだ読んだ事がないという方がいらっしゃいましたら、せひ一度読んでみて下さい。読み終わったら、キャメロン ハイランドに行きたくなりますよ!もちろん、マレーシアの事情に精通されていなくても、十分に面白く読むことができる作品ですのでご安心ください。