Saya Cinta Malaysia

マレーシアの文化や今昔のマレーシア旅。マレー系夫との国際結婚あれこれ。

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マレーシアの暮らしや文化が分かる漫画『カンポン ボーイ』『タウン ボーイ』とは?

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皆様、こんにちは。

 

近年日本人の移住先として人気の国マレーシアですが、人気が高まった時期からマレーシアに移住をし、特にKL(クアラ ルンプール)のような都会に暮らしている多くの方は少し前のマレーシアの風景や田舎の暮らしについて知る機会はあまり多くはないでしょう。

 

では、マレーシアの田舎ってどんな感じなの?そんな疑問を持つ方におすすめしたい漫画『カンポンボーイ』。今回は、マレーシア人に愛され続ける『カンポンボーイ』、そしてその続編『タウンボーイ』の魅力をご紹介します。

 

 

【マレーシアが誇る漫画家『カンポンボーイ』の作者ラットとは?】

 

マレーシア人なら誰もが知る著名な漫画家Latさん(ラットさん)。本名はDatuk Mohammad Nor Khalidさんで、1951年生まれでPerak州(ペラ州)が故郷です。

 

ラットさんについて知りたい方はこちらを参照ください。

ja.wikipedia.org

 

【マレーシアの文化を学べるロングセラー漫画『カンポンボーイ』】

 

その漫画家ラットさんの代表作『Kampong Boy』(カンポン ボーイ)。マレーシアの国民的漫画と言っていい、ロングセラー漫画です。

 

私は昔からこの『カンポン ボーイ』が大好きで、マレーシアを旅した際には原語(英語&マレー語)のシリーズ本を何冊か買っていました。

 

もっとも有名な『カンポン ボーイ』の原書。1979年初版発行です。

 

『THE KAMPUNG BOY』/Lat(Datuk Mohammad Nor Khalid)/Berita Publishing Sdn Bhd

 

時代設定は1960年代あたり。作者のラットさん自身がモデルとなっているPerak州(ペラ州)のカンポン(田舎・村)に生まれた主人公が、生まれてからカンポンを離れるまでの少年時代を描いています。マレーシアの文化や風習についてユーモアを交えながらもリアルに描かれ、そしてマレーシアでの生き生きとした暮らしぶりが伝わってくる、読んでいて明るい気持ちになる内容です。

 

マレーシア人が読んでも楽しい内容であることはもちろん、私たちのような外国人が読んでも非常におもしろく、そしてマレーシアの文化を学べることも魅力です。

 

【シリーズ作『カンポン ボーイ イエスタデイ&トゥデイ』】

 

こちらは『カンポン ボーイ』の大ヒット後、1993年に発売された『Kampung Boy Yesterday & Today』(カンポン ボーイ イエスタデイ&トゥデイ)。

 

上:『Kampung Boy Yesterday & Today』/Lat(Datuk Mohammad Nor Khalid)/MPH Group Publishing Sdn Bhd

下:『Kampung Boy Yesterday & Today』/Lat(Datuk Mohammad Nor Khalid)/Berita Publishing Sdn Bhd

 

なぜ二冊あるのかというと。当時このシリーズを買い漁っていたのですが、旅先の書店で表紙だけを見て違う内容だと飛びついて買ったけれど、冷静になってからよく見たら出版元が違うだけでタイトルと中身は同じだったのでした(笑)。

 

でも、好きな本なので二冊あっても問題なしです!

 

【多民族国家マレーシア!多言語翻訳バージョン『カンポン ボーイ』もある】

 

マレーシアはマレー系以外に華系、そしてインド系も暮らす多民族の国。(もちろんそれ以外の民族も多く暮らしていますが、大枠としてはこの三民族で構成されています。)

 

この『カンポン ボーイ』の原書はマレー語と英語で書かれていますが、なんとマレーシアを構成する他民族の言語バージョンでも発行されているのです。

 

こちらがその、中国語(マンダリン)バージョンとタミル語バージョンの『カンポン ボーイ』です。

 

上:『THE KAMPUNG BOY』(Mandarin)/Lat(Datuk Mohammad Nor Khalid)/INSTITUT TERJEMAHAN NEGARA MALAYSIA BERHAD

下:『THE KAMPUNG BOY』(Tamil)/Lat(Datuk Mohammad Nor Khalid)/INSTITUT TERJEMAHAN NEGARA MALAYSIA BERHAD

 

マンダリン、そしてタミル語ともに発行は2011年。原書の『カンポン ボーイ』の発行は1979年ですので、30年以上が経過してから発行に至っています。

 

せっかくですので、同じページの内容で三言語を並べてみました。

 

左右同じく

上:『THE KAMPUNG BOY』/Lat(Datuk Mohammad Nor Khalid)/Berita Publishing Sdn Bhd

真ん中:『THE KAMPUNG BOY』(Mandarin)/Lat(Datuk Mohammad Nor Khalid)/INSTITUT TERJEMAHAN NEGARA MALAYSIA BERHAD

下:『THE KAMPUNG BOY』(Tamil)/Lat(Datuk Mohammad Nor Khalid)/INSTITUT TERJEMAHAN NEGARA MALAYSIA BERHAD

 

イスラムの言葉などは厳密に翻訳できる言葉はないと予想します。二言語とも私は読めないので想像するしかないのですが、そのあたりをどのように折り合いをつけて訳しているのか気になるところです。

 

ちなみに、この中国語バージョンとタミル語バージョンの『カンポン ボーイ』は、2025年5月にKL(クアラ ルンプール)のPWTCで開催されていたブックフェアを訪れた際にセール品の中から見つけました!

 

一冊RM10と破格で、こんな掘り出し物もちろん買うでしょ!と勇んでレジに持っていったのですが、マレー系の(に見える)私がマレー語ではないこの二冊を買うことにレジのおばさまが不思議に思ったようでいろいろ聞かれ、日本人だと明かすと今度は「中国語が読めるのね!」という違う方向の勘違いをされて説明に困りました(笑)。

 

【日本語でも読める!『カンポンボーイ』翻訳版の魅力】

 

原書では英語とマレー語で描かれている『カンポン ボーイ』ですが、2014年に東京外国語大学出版会から日本語訳版が出版されています。

 

マレーシアで発売されている原書はA4サイズですが、この日本語版はその約半分とコンパクトサイズです。

 

『Kampung boy/カンポン ボーイ』/ラット/左右田直規、稗田奈津江訳/東京外語大学出版会

 

 

原書の英語やマレー語も簡単な内容ですので十分理解できますが、マレー系マレーシア人のラットさんが描くマレーシアの暮らしということで、時折イスラムにまつわる風習や言葉も登場します。

 

国が変われば風習も変わりますので、マレーシアへの造詣が浅い人には理解の難しい描写もあるなか、適切な日本語訳で読み進めることができるとよりマレーシアの文化への理解が深まるのではないでしょうか。

 

【都会での青春時代を描く続編『タウンボーイ』】


そして、2015年には『カンポン ボーイ』に登場する少年たちのその後を描いた続編『Town Boy』(タウン ボーイ)の日本語版が、同じく東京外国語大学出版会から発売されています。

 

『Town Boy/タウン ボーイ』/ラット/左右田直規訳/東京外語大学出版会

 

 

マレーシアでの初版発行は1981年。残念ながら私は原書を買えずにいるため、マレーシアバージョンを手に取ったことはありません。

 

【『カンポン ボーイ』シリーズ作がマレーシア人に愛される理由】

 

『タウン ボーイ』では、カンポンののどかな風景から都会のIpoh(イポー)に舞台を移し、親友ができたりちょっと悪さをしてみたりと誰もが思い出にあるような青春時代とも言える経験をしていく様子が描かれています。

 

マレーシアが好きな私はそこに描かれるマレーシアならではの風景や生活にも心が動かされることはもちろんですが、それと同時に自分の若い頃の思い出も重なる内容でした(笑)。

 

好きな女の子と初めて、マレーシアの庶民的な喫茶店とも言えるKopitiam(コピティアム)に入り一緒にRoti Canai(ロティ チャナイ)を食べるシーンはかわいいなと思い、ニヤニヤしながら読んでみたり。

 

 

実はこの『タウンボーイ』日本語版が発売された際、私はたまたま日本で開催されたブックフェアを訪れ、この本のプロモーションのために会場に来ていたマレー系マレーシア人の方からとても丁寧にこの本について紹介をしていただきました。

 

その方が内容の説明をしながら、「僕はこの『タウンボーイ』や『カンポン ボーイ』が好きです。懐かしい実家を思い出したり、初恋とかあってちょっとキュンとします!」とニコニコしながら紹介してくれたことがとても印象に残っています。

 

作者であるラットさんが実際に体験したマレーシアでの暮らしを描いている『カンポン ボーイ』シリーズは、マレーシアで生まれ暮らしてきた多くのマレーシア人たちの記憶と重なる部分が多く、そして大人になった彼らにとって懐かしくも感じながら読み進められるのかもしれません。このシリーズ作がマレーシアでたくさんの人たちに愛され、ロングセラーとなっている理由が垣間見えた気がしました。

 

【最後に】

 

マレーシア人はもちろんのこと、多くの外国人にも愛され続けているラットさんの『カンポン ボーイ』シリーズ。マレーシアのどこにでもある風景だけれど、懐かしさも感じられる日常を描いていて、読んでいるとどこか心が温かくなります。

 

また、マレーシアのことをあまり知らない外国人が読んでも文化や暮らしを知ることができる非常に良い作品でもあります。都会ではないマレーシアってどんな感じなんだろう?と思っている方は、ぜひ一度読んでみてください。