Saya Cinta Malaysia

マレーシアの文化や今昔のマレーシア旅。マレー系夫との国際結婚あれこれ。

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可愛い地域猫メラちゃんと私の四年半の暮らしを振り返る

皆様、こんにちは。

 

今日は、私が日本で暮らしていた頃に出会った可愛い猫ちゃんのお話です。

 

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マレーシアの話題ではありませんが、とても可愛い猫ちゃんのお話ですのでぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

 

 

地域猫が多く暮らす町で出会った可愛い猫ちゃん】

 

猫ちゃんと私の出会いは2014年夏。私は当時の夫と暮らしていた家を引き払い、隣駅の品川区の住宅街の真ん中にある一階の部屋に移り住みました。と同時に、それから二カ月しないうちに乳がんのために仕事を休職。手術のために二週間の入院をしました。今思うと色々なことを一心不乱にこなし、それ以外の記憶はほとんどなかった2014年の夏でした。

 

その町に引っ越しをした当初からぼんやりと感じていたのが、猫ちゃんが多い町だということ。地域猫の世話をしている人もいらっしゃる様子で、町中を歩く猫ちゃんの姿をあちこちで見ることができ、猫ちゃん好きの私としてはこの町の雰囲気を気に入っていました。

 

引っ越しをしてから少し経ったある日、洗濯物を干そうとベランダに出ると向かいのお家の屋根の上に可愛い猫ちゃんが!

 

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その距離5mくらい。でも眼光は鋭く、こちらの様子を伺うようにじっと私を見つめていました。「おいで」と話しかけたりしましたが距離は縮めてくれず、数時間してまた外を見るとどこかにいなくなっていました。その後もそんなことが数回ありましたが、この頃は私達の距離は遠いまま(笑)。

 

【人生で一番つらかった時期に縮まった猫ちゃんとの距離】

 

その夏、乳がんの手術で二週間の入院をし、退院後自宅に戻った私はまた一人での暮らしが始まりました。

 

仕事も休職をしていたので、近所に暮らす弟ファミリー達が時折ご飯を届けてくれる以外は一日中ずっと一人。入院中は同部屋の人や看護師さん、お見舞いに来てくれた友人と話したりすることで平常心を保っていましたが、退院して一人になったら、手術で右胸を失ったことやこれからの治療のこと、そして将来やこれからの暮らしのことが一気につらく感じられ、ふさぎ込むように。

 

心身ともにコントロールがきかなくなり、乳がんでかかっていた当時の主治医から心療科も紹介されて受診するほど精神的に参ってしまうまでに。今振り返ると、あの時の自分は人生で一番辛かった時だなと。

 

そんな日々を送っていたある日、いつものようにベランダに出てみるとあの猫ちゃんがいます。今までと同じくお隣のお家の屋根からじっと私を見ていましたが、そのうちベランダのすぐ目の前にある屋根に飛び移ってきて、そこから私をじっと見つめるようになりました。だいぶ距離が近くなった…!

 

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【偽りない本音を猫ちゃんに語り続けた日々】

 

それからはかなりの頻度でその屋根に現れることが増え、まだ秋で気候も良かったため、私はその猫ちゃんが現れるとベランダの入口に腰かけてあれこれ話しかけたり、というか独り言や弱音を聞いてもらったりしていました。この頃の私の飾りもなく偽りない一番の本音を聞いていたのは、この猫ちゃんだったと言っても過言ではないです。

 

猫ちゃんはその屋根から私をじっと見ているだけだったけど、友達とも家族とも会う気持ちにもなれず、孤独を感じると辛くて死にたいと思うことも度々あるほどの心理状態の私でしたが、その一方でこんな可愛い猫ちゃんがしょっちゅう私に会いに来てくれることが嬉しく、だんだんと猫ちゃんと会うことを楽しみにベランダの窓を開ける日が増えていきました。

 

会う時間が増えていき、自然と呼び名も決まりました。赤毛が混じる可愛い毛並みだったので、マレー語の赤色、Merah(メラ)という言葉が浮かび、メラちゃんと呼ぶことにしました。

 

【ベランダに毎日来てくれるようになったメラちゃん】

 

毎日は来てくれるものの、ベランダを隔てての距離は変わらぬまま半年ほど過ぎた頃、ベランダで「ドスン」と何か落ちるような音が。

 

なんだろう?と思って窓の方を見ると、すりガラスの向こうに黒い影が見えます。もしや!と思ってそっと窓を開けてみたら、なんとメラちゃんがベランダに降りてきてくれました!窓のすぐそばまで来てくれていてこちらを見上げていました。すごく可愛い!

 

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日本では野良猫や地域猫との距離感が難しく、マレーシアのように気軽にご飯をあげたりすると糞尿問題で苦情につながることもあります。「ずっと面倒を見られないなら一時的な感情でご飯を与えたりするべきではない」という意見もありますし、私自身もメラちゃんを保護することはできないと予め分かっていたので、当初はご飯も飲み水も与えることはしていませんでした。

 

でもベランダまで毎日来てくれるようになってからは、最初は飲み水を置き、そのうち少量ですがご飯も置いておくようになりました。

 

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最初はあまり口にしなかったメラちゃんもだんだんと全部平らげてくれるように。私は毎日可愛いメラちゃんが来てくれることで元気をもらい、メラちゃんは少しとは言えご飯を食べる。お互い持ちつ持たれつみたいな関係が出来上がっていきました。

 

【我が家を安心の場として認知してくれるように】

 

その後私も心身共にだいぶ元気を取り戻し仕事にも復帰。そして2016年あたりからはメラちゃんは毎日必ずベランダにやって来るようになり、窓を開けたままにしているとなんと部屋の中に入ってくることも度々となりました。

 

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とは言え、やはり警戒心が強い地域猫ちゃん。こちらがだいぶ距離を置いた所にいることを確認してからそっと入ってきて、いつでも脱出が可能な入口近くで腰を下ろしてのんびりとしている様子が見られました。

 

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でも時にはこんな風にうとうとと寝入ってしまう時も…!人間でもうとうとしてしまいそうな秋の暖かな午後だったと記憶しています。目を閉じてゆらゆらと揺れている様子がとても可愛かったし、安心してくれてるのかなと嬉しかったです。

 

私はこの時間がとても好きでした。少し距離感はあるけど、メラちゃんはこの空間を外敵のいる外よりは安心の場と思ってくれて座り込んでくれているだろうし、そんな安心しているメラちゃんを見ている私も幸せな気持ちになるし。

 

そして、2017年にはもう昼間のほとんどは我が家のベランダで過ごすようになったメラちゃん。

 

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すっかり慣れて私の前では可愛い姿をたくさん見せてくれるようになりました。

 

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お茶目なポーズもたくさんでいつも表情豊かな愛らしいメラちゃんとの毎日は本当に温かく幸せなものでした。

 

【ヤキモチを妬いたり気持ちを見抜く人間顔負けなメラちゃんとの日々】

 

2017年の春頃、私は日本人男性と付き合っていて休日は出かけることが多くなった時期がありました。その頃のメラちゃん、窓を開けて私が出かける準備をしていると窓際まで迫ってきてゴロンゴロンと構ってポーズを繰り返し…。

 

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いかにも「出かけるの?遊ぼうよー!」と言っているみたいな、それはそれは可愛い行動で。こんなの見ちゃったらずっと遊んでたくて出かけたくなくなるよ!という人間心理をちゃんと分かってるんですかね(笑)。

 

その後その日本人男性とはあっさりお別れしまして(早っ)、ハムザと婚約をしてハムザが我が家にやってくるようになると今度は「こいつ誰や」という表情で、じっと部屋の中の私達を観察している時もありました。

 

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猫ちゃんは本当に人間以上に感情の機微に敏感というか、繊細で感情豊かな生き物だなと思います。本当に可愛いですね。

 

【私の暮らしの変化と共にメラちゃんの態度にも変化が出始める】

 

2018年夏、私はハムザと結婚をしました。マレーシアに移住をするまでの約半年間はお互い東京とマレーシアで離れて暮らす遠距離別居婚でしたので、結婚後も一人で暮らしていることに変わりはありませんでしたが、やはり生活の中心がハムザとのことに変化し、それまでの一人暮らしとは違う暮らしになりました。

 

メラちゃんは全て分かっているのか…。変わらず毎日遊びには来てくれるものの、だんだんと滞在時間は短くなっていったことを覚えています。

 

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来てくれている時はいつもと変わらず可愛い姿を見せてくれますが、ふと気が付くといなくなっていて。一日中ベランダで過ごしていた時期もあったくらいなので、いなくなると寂しくも感じたり、どこかもっと居心地良いお家を見つけたのかな?と少し安心感もあったりと複雑な心境でした。

 

【お別れの朝はイカ耳で登場】

 

そして2019年春、ついにメラちゃんとお別れの時が。私はマレーシアでの新生活のためにその部屋を引き払うことになりました。日本を離れる最後の一カ月ほどは引っ越しや荷物の処分、日本国内も旅したりと忙しくしていて部屋を留守にすることも多くなっていました。

 

そんな私の変化にきっとメラちゃんは気が付いていて、ベランダに遊びに来てくれてもあまり距離を近づけてこない日も多くなりました。特にハムザが日本に来て部屋にいる時はそれが顕著だったように感じます。

 

部屋を退去する日の朝。メラちゃん来てくれるかな…と思っていたら、朝早く来てくれました!ベランダの窓を開けて顔を出したら、じっと私を見つめていたけどこの表情で、しかもイカ耳…。

 

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猫ちゃんのイカ耳の理由は諸説ありますが、「不満や不安がある時」になる可能性が高いとよく言われています。いつもは窓際ギリギリまで来てくれるメラちゃんですが、この日はどんなに待ってもこれ以上は近づいてくれませんでした。

 

色々話しかけてみたけどじっと座ってこちらを見つめ続け、そしてふいっときびすを返してスタスタと歩き去り、それがメラちゃんを見た最後となりました。最後はこの四年半の気持ちが溢れ出て、メラちゃんが去っていく姿を見つめながら泣いてしまった私でした。

 

【幸せだったメラちゃんとの四年半の暮らしを振り返って思うこと】

 

メラちゃんとお別れをしてからもうすぐ二年。マレーシアは至る所に猫ちゃんがいて、地域の人達からとても大事にされています。そんな外猫ちゃん達と接するたびに必ず思い出すメラちゃん。

 

一番つらくしんどかった時にどこからか現れたメラちゃん。私の気持ちを分かっていたのかどうかは分からないけど、死にたいとまで落ち込んでいた私が毎日話しかけていたのはメラちゃんで、そのドン底から脱した後も色々なことがあって山あり谷ありだった四年半の暮らしの全部を見聞きしていたのはメラちゃんでした。そして、私はいつもメラちゃんが見せる可愛い姿に救われていて。

 

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もしメラちゃんがいなかったら、あの部屋での暮らしはどんなだったかなとたまに考えます。

 

とにかくまずは生きなければ、という気持ちで淡々と病後の日々をこなして、元気を取り戻してからはたまにマレーシアに行って、そして仕事に行ってという日々は同じだと思うけど、きっと気持ちの彩りが圧倒的に少なかっただろうなと思います。メラちゃんが私に与えてくれた時間は本当に幸せに溢れていて、心が晴れることがたくさんありました。

 

しんどいと思うことが多かった時期は毎日長い時間ベランダに来てくれていたメラちゃん。私の暮らしや心身が少しずつ良い方向に向かい始め、特にハムザという支えができた頃からはだんだんと一緒に過ごす時間が少なくなっていきました。きっとメラちゃんは分かっていたのだと思います。メラちゃんがいなくても私が元気に生きられるようになっていることに。

 

【最後に】

 

メラちゃんを思い出すたび、メラちゃんに会いたいと思うけれど…きっと叶わぬ願いです。

 

一緒に過ごしてくれた時間を私は絶対に忘れないし、今も私の一番大好きな猫ちゃんはメラちゃんです。私の人生にたくさんの幸せと彩りをくれたメラちゃんに心から感謝しているし、今メラちゃんが心優しい誰かに大切にしてもらっているといいなとも願っています。