皆様、こんにちは。
マレー半島とボルネオ島、海を越えた二つの地域から成る国マレーシア。国境や国のまとまりは政治的な事情で後付けにて作られたものであり、この二つの地域はもともとは国境の縛りのない様々な民族が土着やそれが混在していく文化のもとに暮らしを築いてきました。
食文化ももちろんその一つで、マレー半島とボルネオ島での食生活には色々と違いがあります。今日は、そんな違いの一つと言えるボルネオ島のSarawak州(サラワク州)で主に食べられている麺料理のご紹介です。
- 【主食は麺料理?麺天国サラワク州クチンの食事情】
- 【シンプルな見た目のミーコロッはサラワクの油そば的存在】
- 【毎日行列必須!ミー コロッの名店「MI SAPI HJ SALLEH @ SEPINANG SARI CAFE」】
- 【油そばで初めて感動!塩気と油分の絶妙バランス】
- 【超繁盛店なのに丁寧な接客対応で居心地満点】
- 【最後に】
【主食は麺料理?麺天国サラワク州クチンの食事情】
ボルネオ島に位置するサラワク州の町Kuching(クチン)。マレーシアという国に属してはいるものの、その地理的要因、そしてサラワク州がマレーシアという国に属するまでの地域の成り立ちの事情から、マレー半島とは違った趣の町となっています。
食事情もマレー半島とはかなり違いがあり、明らかに違いを感じるのが主食についてです。クチンの町を歩きながらご飯処を探すと、かなりな割合で目につく「Laksa」と「Mee/Mi」(麺)の文字。一方で白米の存在感は薄い感じが…。
サラワク州出身のマレーシア人やこの地域に詳しい方に聞いてみると、「サラワクの人は麺をよく食べるよ!」という答えが返ってきました。朝昼晩、三食どこを切り取っても麺料理のチョイスが高く、お店の看板やメニューの目立つところには必ずある麺料理名。白米やお米を使った料理であるNasi Goreng(ナシ ゴレン)などもあるにはありますが、マレー半島と比べて圧倒的に割合が低いようでした。
そんなサラワク州、そしてクチンの食事情を理解した上で。ではここで自慢の郷土料理は?と聞いてみると、皆さん口を揃えて「Sarawak Laksa(サラワク ラクサ)とMee Kolok(ミー コロッ)」と答えます。
そんなにオススメならば、とクチンの町で美味しいと評判のミー コロッのお店に行ってみましたが、このお店が期待を大きく超えて本当に美味しく、そしてとても良いお店でしたのでレポートをいたします。
ちなみにサラワク ラクサはもともと大好物で今回の旅でも毎日食べていましたので(笑)、これについてはまた別記事でしっかりとご紹介しますのであしからず。
【シンプルな見た目のミーコロッはサラワクの油そば的存在】
さて、まずはミー コロッという麺料理がどのような料理かを簡単にご紹介します。ちなみに、人によってはKolok Mee(コロッ ミー)と呼んだりしますが、同じですのでどちらで呼んでもサラワク州やマレーシアの人であれば理解するでしょう。
ゆでた細麺を醤油系の味がついた油でからめ、その上にチャーシューや肉そぼろ、もやしや青菜、ネギなどを乗せたシンプルな汁なし麺で日本の油そば的な料理です。
麺の下にはタレが敷かれているので、一緒に付いてくるスープを垂らして麺をほぐしつつ、下に潜んだタレと全体をかき混ぜてからいただきます。
上に乗せるトッピングやスープはお店ごとに違いがあり、さらには豚肉ありの華人系かハラルとなるマレー系のお店かによってもトッピングや味わいにはそれぞれ特徴があります。
そしてこの料理名、ミー コロッとはどういう意味なのかな?と思う方もいらっしゃるかと思います。Meeはマレー半島でもおなじみの「麺」を意味しますが、さてKolokの意味は?
調べてみましたが、どうやらもともと大陸などの華人圏で食べられていた料理の汁なし麺の単語が変化していった結果、その響きが今や料理名そのものとして定着しているのかと思われます。サラワク州には華人系ルーツの方も多く暮らしていますので、彼らの食文化が渡来してくる過程で根付いた料理と名称なのかな?と想像していますが、もしどなたか詳しい方がこの記事を読んでいましたら、コメントいただければ嬉しいです。
【毎日行列必須!ミー コロッの名店「MI SAPI HJ SALLEH @ SEPINANG SARI CAFE」】
では、いよいよ今回クチンで出会ったとても美味しいミー コロッのご紹介を。まず今回訪れたお店はこちら、「MI SAPI HJ SALLEH @ SEPINANG SARI CAFE」です。
お店の看板では、「SEPINANG SARI CAFE」が店名として先に来ているのですが、地元クチンの人達は皆「MI SAPI HJ SALLEH」をさらに略称的に「ミー サピ ハジ」と呼んでいたり、GoogleMapでも「Mi Sapi Haji Salleh」の登録名でヒットします。
朝はなんと5時半からオープンしており、そして平日でも6時にはすでに行列ができ始めるほどの人気店だそうです。そして日によっては13時の閉店時間を待たず、11時くらいにはスープ、具共に売り切れで閉店するそうで。すごい人気店ですね。
私達は金曜日の10時くらいに到着しましたが、やはり並んでいました。
お店はさほど広くないため回転が速いとは言えませんが、家族経営のスタッフさん達がとにかくよく働きテーブルの清掃も早く、空いたらすぐに座れるという効率の良い仕切りで感心しました。
【油そばで初めて感動!塩気と油分の絶妙バランス】
ミー コロッのメニューは色々あり迷うのですが、今回は定番をいただくことにしてMi Kolok Daging(ミー コロッ ダギン)、Dagingは牛肉、つまり牛肉麺にしてみました。ここでメニュー表に書かれているMiは、Meeと同じです。
待つ間にTeh Tarik(テー タリッ)をいただきましたが、これも泡が綺麗で甘さ控えめ。とても美味しいテー タリッでした。
最初にスープがサーブされ、さほど待たずにメインであるミー コロッが登場!
テーブルに置かれてすぐ気が付きましたが、見た目からしてかなり期待できる麺の光沢や具のフレッシュ感があります。
最初にスープをひと口いただいてみたら、これがしっかりと煮込まれた深い味わいで美味しくてびっくりしました。
牛骨を使ってるのかなと思いますが、かなり手をかけて煮込んでいそうです。
そしてそのスープを少し垂らして麺をほぐし、器の下に溜まっているタレと絡めていただきます。細い麺にも関わらずモチっとした食感が強く、そしてほのかに塩味がしてすごく美味しいです。ほど良く油も絡んでいるからか、お肉やもやしと混ぜると風味が増してさらに味わい深くなります。これは本当に美味しいです!
私は普段、麺料理はどちらかというとスープありが好みで日本でもつけ麺はほとんど食べないし、マレーシアのPan Mee(パン ミー)も汁ありのパン ミー スープが好きです。そんな私が、このドライタイプのミー コロッに関してはスルスルと食べ進め、もしかしてドライ麺でこんなに感動したのは初めてかも?と思ったくらい美味しくいただきました。5日間の滞在中にもう一度行きたいなと思ったくらいです。
【超繁盛店なのに丁寧な接客対応で居心地満点】
こちらのお店、すごく美味しいということはもちろんですが、私が今回記事に残したいと思ったのはお店の雰囲気全体がとても素敵だと感じたからです。
家族経営でおそらく一家総出でそれぞれが役割を担っていると思われるのですが、並んでいる人達にオーダーを聞きテーブル采配をしている男性スタッフさん達、ひたすら麺を茹でて油を絡めている娘さんと思われる女性達、そしてオーダーを管理しながらサーブや会計まで広くこなしているお母さんと思われる女性、それぞれ皆さんとても感じがよく、優しいです。
あんなに混雑していたら数をこなすことだけでも疲れてしまいそうなのに、料理をサーブする際に笑顔で話しかけてくれたり、ちょっとした私達の会話をちゃんと聞いていて気にかけてくれたりと、とても丁寧にお客さんや人と接している様子が伝わってきました。
忙しくても決してあれこれを雑に扱ったりしないその姿勢にとても感心したと同時に、こんな素敵なお店ならお友達にも勧めたいし、私自身もまたクチンを再訪した際には必ず食べに来たい!と思えるお店でした。
【最後に】
10年ぶりに訪れた町クチンで出会った、とても美味しいミー コロッ。今回美味しく素敵なお店に出会ってしまい、また再訪したいと思うと同時に、きっと町中にたくさんあるミー コロッのお店をあちこち食べ歩いたら、他にも自分好みのお店を見つけられたりして楽しさが増すだろうなと思ったりもしました。
シンプルな見た目で人によっては地味に思うかもしれないミー コロッですが、実はとても奥深いひと皿なのですね。