
皆様、こんにちは。
マレーシアに移住をして暮らす方のなかには、
「西洋医学とは違う中医クリニックに興味がある」
という方もいらっしゃるでしょう。
今回私自身の体験をもとに、受診を検討している方が知っておくとスムーズに進むであろう、中医クリニックの探し方や受診の流れ、西洋医学クリニックとの違いや使い分け方、治療メニューや費用の目安などをご紹介します。
- 【マレーシアの中医クリニック|特徴と背景】
- 【マレーシアの中医クリニック|規模について】
- 【診療科や施術内容について】
- 【中医クリニックの探し方と選び方】
- 【中医クリニックの診察の流れ】
- 【西洋医学クリニックとの違い・使い分け】
- 【治療メニューと内容】
- 【治療費の目安と注意点】
- 【使用言語とコミュニケーションの工夫】
- 【中医クリニック体験談|筆者の通院治療&回復レポート】
- 【最後に】
【マレーシアの中医クリニック|特徴と背景】
多民族が暮らす国、マレーシア。その人口構成には約23%の華系民族が含まれているため、TCM(Traditional Chinese Medicine)と呼ばれる中医クリニックが町のあちこちにあります。(以下「中医クリニック」という)
- マレーシアや中国、台湾などでTCMの資格を取得した中医師が常駐
- 昔から受け継がれる中医の治療を行う
- 華系の人たちにとっては生活に根付いた身近な医療機関
- 病気から日々の不調、体質改善までさまざまな診療に対応


マレーシアで暮らす日本人のなかには、興味はあれど西洋医学を主とする病院とは治療の方法やアプローチが異なること、そして言語や文化の違いもあることからなかなか受診に踏み切れないという方もいらっしゃるでしょう。
今回私自身があるきっかけで中医クリニックにかかり、問題の症状もほぼ寛解に至ったこと、そしてその症状のみならずこの数年でじわじわと不調に至っていたさまざまな症状も改善されている経験を経て、改めて「知っておけば安心」な中医クリニックについてのポイントをまとめてみました。
【マレーシアの中医クリニック|規模について】
ひとことに中医クリニックと言っても、マレーシアにはさまざまな規模のクリニックが存在します。
大きく分けて大手チェーンと個人経営ですが、ざっくりとした違い、それぞれの規模の一例として中医クリニックの外観なども載せてみます。
▶大手チェーンクリニック
・予約や支払いもオンライン対応が整っていることが多い
・設備などが整う分、価格は高めとなる場合もある


▶個人経営クリニック
・予約やカルテ記入などオンライン化は進んでいないことも多い
・設備が簡素な分、価格は低めなことが多い


西洋医学クリニックと同じくで、経営母体の規模の違い、ということに尽きます。大きいから良くて小さいと心配ということもなく(その逆も然り)、患者と医師との相性をはじめどのような治療を求めるかによって選択が変わるでしょう。
こちらの記事で治療内容などを詳しくレポートしています。
【診療科や施術内容について】
後ほど西洋医学クリニックとの違いや使い分けを記しますが、中医クリニックで行う治療はさまざまで、つらい症状だけピンポイントで抑えるのではなく体全体を見ながら最終的には免疫力を取り戻すことにポイントを置くことが多いようです。体質改善を目指したり、未病の段階から健康を意識する、という点も特徴です。
・気になる症状は基本的にすべて一人の医師に対して相談可能(例外もあり)
・クリニックや医師によって得意分野があることも
・必要があれば西洋医学クリニックでの検査や連携を勧められる
クリニックごとの得意分野や医師が特に専門とする分野がある場合は、このように医師ごとの診察ジャンルなどを明記しています。


中医クリニックの医師の大多数は華系の方ですが、マレー系の医師も増えてきています。
また、針灸を主とする治療、推拿(マッサージ)や骨格矯正を得意とするなどクリニックによって特色もあり、時にはその特化する治療内容を看板に掲げる中医クリニックも存在します。

中医クリニック内で確認が難しい、たとえば血液成分の確認などの機械を使用する検査はそれに適した西洋医学クリニックなどで数値をもらってきてください、と指示を受けることもあります。西洋医学と完全に分断をするのではなく、必要な際は連携や併用もしながら治療できることも良い点です。
また、体全体を診ていくという点から不調による診察と美容観点からの診察をはっきり線引きしないクリニックが多いことも特徴です。西洋医学であれば、はっきりと「美容クリニック」として区分けをするところが多い印象ですが、中医クリニックは治療・施術メニューのなかに「痩身」や「美肌」の文字が入っていることも少なくありません。
【中医クリニックの探し方と選び方】
では実際に自分がかかる際にどのように適した中医クリニックを探したら良いでしょうか。まず押さえておきたいポイントは以下のとおり。
・自分が求める治療内容・料金体系に合うか確認
・医師やクリニックとの相性も大切。合わないと感じたら変更もOK
知り合いが通っていてよかったなどという前提はありながらも、自分が求める治療や無理なく通院が続けられる料金体系と合致するところに行ってみる、というのが一番おすすめです。
知り合いからの紹介であまり良い情報が得られない場合はGoogleMapやFacebookでのレビューをチェックしてみるのもいいでしょう。
西洋医学クリニックと同じくで、医師との相性、そして医師ごとの治療・施術内容やレベルも当然ですが個人差があります。もし治療の過程で違和感を持つ場合はためらうことなく違う中医クリニックや医師を探すこともおすすめしたいです。自身の体のことなので、第六感のような勘が一番大事!が個人的な意見です。
▶中医クリニックを探すための検索ワード
GoogleMapで中医クリニックを検索したい場合は、以下の検索ワードで探してみるとヒットします。
マレー語での検索なら出てくるクリニック、英語なら出てくるものなどさまざまなワードで登録があるようなので、ひとつのワードに絞らずいくつか検索をしてみると良いようです。
▶中医クリニックを探す際のエリア選択
ご自宅の近所で探してもあまり良いところが見つからない場合は、華系の方が多く暮らしているエリアに絞って検索をかけてみると多数上がってきます。
中医クリニックは民族や信仰を問わずどんな方でも診てもらえますが、やはりメインの患者さんは華系の方となるため、彼らが多く暮らすエリアには中医クリニックが点在しています。
【中医クリニックの診察の流れ】
【1】予約
電話やWhatsAppで事前予約が必要かも含め、一度連絡をする。小さなクリニックの場合はウォークインでも可能なこともあるが、針灸など施術も希望する場合は予約要のため一度事前連絡が無難。人気のクリニックは予約が取りづらいことも。
【2】受付
必ず毎受診時に身分証(パスポート)を持参し、受付で提示。事前に問診表を記入することもある。

【3】診察
問診(食生活、睡眠、体質などを細かくヒアリングされる) 治療箇所にもよるが、基本的には舌診と脈診で体全体を診る。
【4】治療内容の提案
針灸、漢方内服薬、カッピング、推拿(マッサージ)など、症状や体質に合わせて提案される。クリニックや施術・処方内容によって費用は変わるため、気になる場合は必ず事前に確認がおすすめ。

【5】治療開始
治療内容、費用を納得したうえでスタート。不安な点は遠慮なく都度質問をする。
【西洋医学クリニックとの違い・使い分け】
中医と西洋医学のクリニック、それぞれゴールは同じく「健康な心身を目指す」ということに尽きますが、そこにたどり着く過程は少々異なります。あくまで概要のみにはなりますが、違いを把握して体調不良の内容で適切な受診判断をしてください。
| 項目 | 中医クリニック | 西洋医学クリニック |
|---|---|---|
| 診察 | 舌診・脈診・触診、生活習慣重視 | 血液検査や画像検査など数値化 |
| 治療 | 針灸、漢方内服薬、カッピング、推拿(マッサージ)など | 薬・注射・手術など |
| 方針 | 体質改善・根本原因を整える | 症状を迅速に抑える |
| 薬 | 個別調合の漢方内服薬(パウダーやシロップ) | 基本的には規格化された医薬品 |
▶こんなときは中医クリニック
・体質改善や自然な回復力をつけたい
・痛みや不調のもととなる不摂生につながる生活習慣や体質改善を目指したい
短期的な治療よりも中期的~長期的な治療を得意とはしますが、とは言え針灸治療など早期に効果が見られたり、漢方内服薬については短期~中期的な効果があるものを処方されることが多いことなど、早い段階で効果を得られる場合もあります。
またはっきりとした病気や不調までいかずとも、たとえば「風邪をひきやすい体質を改善したい」「夜しっかりと眠れない」など、日々小さく悩まされている不調など未病の段階でも受診と処方が可能。生活や食習慣も合わせて指導・治療が受けられるため長い目での健康管理を目指せます。
▶こんなときは西洋医学クリニック
・激しい痛み・緊急性のある症状
・数値で原因をはっきり知りたい
緊急性を要する症状と判断でき、迅速かつ明確な診断・治療を望む場合はまずは西洋医学クリニックにて受診がベストのようです。検査により不調の原因を数値化するなど、目に見える診断結果を得られることが安心につながることも多いでしょう。
体調や不調の種類、その緊急性に応じて使い分けながら、治療の過程では両方の良さを上手に取り入れてみることも有効と感じます。
【治療メニューと内容】
中医クリニックで行われる治療や施術は以下のとおりです。クリニックによって可能な治療内容が変わることもありますので、あくまで一例として挙げてみます。
- 針灸(Acupuncture):肩こり、腰痛、自律神経の乱れなど
- カッピング(Cupping/抜罐):血流促進、筋肉のこわばりに
- 推拿(Tuina):中式マッサージでコリを緩める
- 漢方薬(Herbal Medicine):煎じ薬や粉末、カプセル、シロップなど
- 養生・食養指導:体質に合わせた生活・食事のアドバイス
クリニックごとに挙げているメニューはさまざま。写真のみですが、私が取材をしたクリニックのいくつかの例をご紹介しておきます。




【治療費の目安と注意点】
費用はクリニックによってかなり差があります。地域や治療内容、クリニックの規模によって変動しますのであくまで参考程度とし、実際の受診そして治療開始の前には必ず金額の確認をすることをおすすめします。
| 項目 | 料金目安(RM/マレーシアリンギット) |
|---|---|
| 初診料+診察料 | RM5~RM60 |
| 針灸1回 | RM30~RM100 |
| カッピング | RM15~RM100 |
| 推拿(30~60分) | RM50~RM150 |
| 漢方内服薬(例:1ボトル-1カ月分目安) | RM50~RM200 |
※中医クリニック受診は基本的に民間の医療保険や海外旅行保険の対象外となることが多いです。気になる場合は事前に電話などで確認をしましょう。
高めの料金設定を掲げる中医クリニックもありますが、マレーシアで暮らす華系の方の所得もさまざまで、彼らが日常的に健康管理のために通っている背景なども考えると良心的な金額設定の中医クリニックも多くあることは確かです。
取材でいくつか調べた各クリニックの料金表もぜひ参考にしてみてください。大きなクリニックではパッケージでの販売もあります。




治療や処方内容によっては高額となるケースも見受けられますが、それでも日本で針灸治療や漢方薬局で処方をしてもらうことと比較をするとリーズナブルな価格設定が多いと感じます。華系の人たちが多く暮らすマレーシアならではの利点ですね。
【使用言語とコミュニケーションの工夫】
先述のとおり、中医クリニックは民族や信仰を問わずどんな方でも診てもらえますが患者のほとんどは華系の方、そしてもちろん医師もスタッフもほとんどが華系です。そのため院内のメイン言語は中国語、その次に英語という環境が多いです。
ほとんどの医師は英語、中国語、そしてマレー語での受診が可能ですが、ごく稀に高齢の医師ですと中国語だけという場合もあります。英語での診察をお願いしたいなど希望がある場合は、事前に電話をしてその旨相談をしてみると、適した先生の日を案内してくれるでしょう。
ちなみに私の先生は英語・中国語、そしてマレー語を操るため、英語とマレー語をミックスで会話しています。難しい場合はお互いGoogle翻訳や画像を提示するなども。スマホがあれば結構なんとかなります。
そしてここからは日本人だからこそできることなのですが、私の先生はカルテ記入を中国語で行います。(PCは一切使わず手書きです!) 私はその、先生がカルテに書いている中国語、つまり漢字の内容が実は一番理解できます(笑)。
漢字を理解できる日本人ならではという出来事ですが、私は英語もマレー語も苦手なので、伝えた&聞いた内容が本当に自分の理解と合っているのか?を先生が書いているカルテの内容を読み込むことで最終確認する、という具合です。中国語の漢字の並びと日本語の意味が100%合致するわけではないのですが、意味としてはだいたい通じますのでこんな裏技もあることをお伝えしておきます。
【中医クリニック体験談|筆者の通院治療&回復レポート】
ここまで中医クリニックの概要についていろいろとご紹介しましたが、実際に効果があるのかないのか?実体験に基づく情報が欲しいという方もいらっしゃるでしょう。
私はマレーシア移住後3年を経過したあたりから大きく体調を崩し、特に体や手足全体のひどい肌荒れに悩まされました。西洋医学での治療に頼った日々が長く続いたものの一向に回復はせず、リバウンドで悪化をする間隔も短くなり心身ともに疲弊していました。
そのうち日常生活もままならないくらいに悪化したことから万策尽きた感で最後の望みという感じで中医クリニックに通い始めました。そして、一年近く通院をした今では肌荒れはほぼ寛解。そして更年期の症状なども緩和されるなど、体調が良くなったことを実感しています。また、単なる肌荒れや更年期症状の治療にとどまらず、自分の体や生活習慣に向き合う時間を得られたことも大きな収穫でした。
実際の受診、そして治療や寛解に至るまでの経緯などを詳しくレポートしています。気になる方はぜひ参考にしてみてください。
▶ 詳しい体験談はこちら
【最後に】
今回は、マレーシアで一般的な中医クリニックの受診についてご紹介をしました。
私自身もそうですが、生まれ育った環境を離れての外国での生活は慣れない気候や食事、そして気づかないうちにストレスも蓄積するなど、体調に影響を与える要因がたくさんあります。若い頃は問題なく暮らせていても、加齢などで体調に変化が生じることも。そんな体調の変化に向き合い、無理なく心身のメンテナンスを施していくために中医クリニックはとても有効です。

言うまでもありませんが、西洋医学、中医学ともに利点はあり、それぞれの治療の特徴をうまく使い分けることで健康管理の幅が広がります。西洋医学クリニックには急を要する症状や数値を追及する検査、そして手術なども含めた治療の強み。
一方で継続的な治療や体質改善、慢性的な不調は中医クリニックが向いているなど、目的や希望に合った方法を選ぶこともポイントです。どちらか一方ではなく、自分の症状や体質に応じて上手に活用できると良いですね。
今回の記事そして体験レポートも参考にしていただき、さまざまな体調について悩む方が中医クリニックへの受診の一歩を踏み出し、心身ともに少しでも楽になれば嬉しいです。