
皆様、こんにちは。
全人口の約64%がイスラムを信仰するマレー系マレーシア人で構成されている国マレーシア。そのため、町の至る所にイスラム教徒が礼拝をするための「モスク」があります。
今回はそんなマレーシアに数多くあるモスクの中でも首都KL(クアラ ルンプール)の中心に鎮座するマレーシア代表のモスクとも言える、国立モスク「Masjid Negara」をご紹介します。


1965年に建てられ、独立の象徴としても知られるMasjid Negara。観光スポットが集まった場所にあること、そしてブルーモスクやピンクモスクに代表されるような他の有名モスクよりも移動そして滞在時間を短めにできることから、短期滞在の旅行者には訪問しやすいモスクと言えるでしょう。
この記事ではこのMasjid Negaraの見どころはもちろん、初めての方でも安心してスムーズにモスク見学ができるポイントなどをわかりやすくご紹介します。
事前に知っていることで少し意識して踏み込んだ見学ができる内容も記していますので、ぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
- 【国内最大規模!マレーシア独立建国象徴の国立モスク】
- 【アクセス抜群!KLの中心地で電車と徒歩で行けるモスク】
- 【非イスラム教徒の見学方法】
- 【Masjid Negara|建築の特徴や見どころ]
- 【メイン礼拝所内の見学】
- 【見学時間内に礼拝風景を見られることも】
- 【日本語のイスラム情報も入手可能】
- 【マレーシア歴代首相が埋葬される場所】
- 【モスクはイスラム教徒が集う憩いの場】
- 【最後に】
【国内最大規模!マレーシア独立建国象徴の国立モスク】
マレーシアの首都であるKL(クアラ ルンプール)のまさに中心地にそびえ立つこのモスク。マレー語で「Masjid Negara」(マスジッド ヌガラ)、英語名称は「National Mosque」(ナショナル モスク)です。

建設は1965年。1963年、現在のマレーシアとして建国がされた直後に建設をされたことから独立の象徴のひとつと語られることも多いモスクです。
収容人数は約15,000人。メインの礼拝を行う礼拝所に約8,000人が入ることができるそうですが、男性たちが一同に集う金曜礼拝の際は礼拝所を囲むこのようなオープンスペースにも人がぎっしりと並びます。その人数まで合わせると約15,000人が一度に集うことができるモスクです。


【アクセス抜群!KLの中心地で電車と徒歩で行けるモスク】
Masjid Negaraまで、どこにあってどうやって行くの?ということで簡単にご紹介します。KLのど真ん中にあるため、元気な方でしたら電車と徒歩でアクセスが可能という非常に便利な立地にあります。
観光客なら一度は降り立つのではないかと予想するKLの中心を走る電車LRT、Kelana Jaya線(クラナ ジャヤ線)のPasar Seni駅(パサール スニ駅)。ホーム上からはこの景色を見ることができます。
POSの看板がある建物は郵便局。その反対側奥に見える十六画形の水色の屋根とそびえ立つミナレットと呼ばれる塔が、Masjid Negaraです。

近くに見えてはいるものの、いくつかアクセス方法がありますのでご紹介しましょう。
▶何がなんでも歩きたくない派はGrab一択!
アクセス便利!と言っておきながら最初の足は車を紹介するというのもなんですが(笑)、やっぱり便利なGrab。マレーシアは常夏の国です。歩くと当然ながら汗もかきますのでそれが嫌という方は素直に車にしましょう。
Grabなら、たとえばハブ駅のKL Sentral駅からなら時間帯で異なりますがRM10前後、10分程度で到着します。
▶Pasar Seni駅から徒歩(約10分)
KLの中心を走る電車LRT、Kelana Jaya線(クラナ ジャヤ線)のPasar Seni駅(パサール スニ駅)からは連絡通路を経由することでアクセスできます。
Pasar Seni駅にはLRTのKelana Jaya線の駅(地上駅)とMRTのKajang線(カジャン線)(地下駅)の二路線が乗り入れていて、両駅は同改札内で行き来ができる構造です。このモスクへのアクセスの際は、地上となるLRTの駅改札から出ます。アクセス方法は以下を参考にしてください。




















▶KTMのKuala Lumpur駅から徒歩(約8分)※正確にはLRTのPasar Seni駅経由
マレーシアの国鉄KTM(Keretapi Tanah Melayu)の停車駅、Kuala Lumpur駅(クアラ ルンプール駅)の改札から出ることで簡単なアクセスが可能です。(※注意!KL Sentral駅/KLセントラル駅ではありません)
正確に言うと、「Pasar Seni駅からKTMのKuala Lumpur駅を経由する」というルート。このKuala Lumpur駅と先ほどのPasar Seni駅は改札を通してつながっていますので、Pasar Seni駅で下車をして歩けます。今回も先ほど同様に地上のLRTのPasar Seni駅改札から出てのアクセスですので、以下を参考にしてください。
















【非イスラム教徒の見学方法】
このMasjid Negaraは、礼拝時間以外であれば非イスラム教徒の内部見学を受け入れています。事前に知っておくと訪問、そして入場がスムーズになるポイントをご紹介します。
▶非イスラム教徒の入場可能時間
見学可能な時間はこちら。せっかく行ったのに入れなかった!ということがないよう、事前に確認をしてから訪れることおすすめします。特に金曜日は時間が短くなりますので要注意です。

▶入場は正面玄関のツーリスト受付から
正面玄関はこちら。そのすぐ後ろにあるこの観光客用の出入口からのみ、非イスラム教徒の入場が許可されています。


▶ドレスコード
モスクに入る際は定められた服装を順守することが求められます。この服装ルールを満たしていない場合は、スタッフの指示によりガウンや腰巻きのサロンが貸し出されます。


貸し出されるガウン。

足のみ隠せていない場合などは、左下写真のような腰から巻くスタイルの簡易サロンを着用することで入場できます。どこまでOKでどこからがNGなのかはスタッフの判断になりますので、指示に従いましょう。


▶カラフルなヒジャブの貸し出しブースあり
受付で貸し出されるガウンにはフードがついていますのでそれをかぶれば髪の毛は隠せますが、もしHijab(ヒジャブ)を単体で体験してみたい!という方は受付の隣の建物にヒジャブレンタルのブースがあります。


レンタル用のスカーフはそんなに数は多くありませんが、カラーバリエーションは一応そろっています。巻く技術がなくても簡単に被れるインスタントタイプのヒジャブもありますので、ぜひこちらも活用してみてください。また、レンタルの場合も購入の場合もお店の方が綺麗に巻いてくれます。自信がない場合はお願いしてみましょう。


レンタル不可の販売品も並んでいます。見学の際に巻いて、そのまま持ち帰りたいという場合は購入するのもいいかと。全部の値札を確認はしていないので高いものもあるかもしれませんが、表示の限りでは一枚RM15。質から見て町中で買うより安いか同じくらいか、という印象なので、レンタル品で知らない誰かが巻いたものを使うのはちょっとなあ、という方は購入もありだと感じました。

ヒジャブについて知りたい方は、ぜひこちらの記事も参考にしてください。
▶入場の手順
【1】受付登録
入場の際はスマートフォンで下記①のQRコードを読み込み、必要項目を英字入力して登録。グループの場合は代表者のみが操作し、「Visitor count」に人数を入れればOKです。


混雑時は列に並んで入場を待つこともありますので、事前に操作しておくとスムーズです。
【2】登録画面と服装のチェック
順番が来たら、【1】で登録した画面をスタッフに提示。スタッフによる服装チェックを受け、問題なければそのまま入場。指示がある場合は適宜ガウンやサロン着用などでルールに従う。

受付や入口付近には常にスタッフがいます。近年は外国人観光客のモスク見学熱が高まっていて、どこのモスクも大勢の外国人の入場受付を行っています。ごくまれにですが、自己判断で服装などのルールを守らないスタイルで入場をしようとしてトラブルになるケースなども見聞きします。
非イスラム教徒に気持ちよくモスク見学をしてほしいと願いながら大勢の来場者に対応するスタッフの皆さんの苦労を感じるシーンにも時折遭遇しますので、ぜひ見学の際はスタッフの指示に従って入場していただけるとお互いが気持ちよく過ごせるかと。
【Masjid Negara|建築の特徴や見どころ]
モスクの造りはイスラムの決まりに沿っています。皆さんそれぞれが興味を持つポイントはさまざまでしょうが、いくつか見どころとして押さえておきたいポイントをご紹介します。
▶幾何学文様が特徴の建築様式
モスクの建物全体にイスラム建築の特徴とも言える幾何学文様が施されています。




▶水辺に囲まれ、風が吹き抜ける空間
敷地内、そしてモスクの建物は水辺に囲まれてとても開放的な造りとなっています。


マレーシアは常夏の気候ということもあり、メインの礼拝所以外の空間はオープンな造り。風が通って涼しく感じる居心地の良い空間です。


広い空間の端っこからは、マレーシアらしい風景が撮影できるスポットもあります。こんな景色が撮れるのは、オープンな造りだからこそですね。

▶礼拝時間を刻む多数の時計
イスラムでは一日に五回礼拝をすることが義務となり、その時刻を刻んでいる時計です。


なお、礼拝の時間以外にもイスラム教徒が知るべき時刻も同じく並んでいるため、時計が多めです。
▶メイン礼拝所はブルーを基調とした美しさ
こちらが礼拝を行うための礼拝所。天井が高く、その天井から側面に沿ってブルーを基調とした美しいステンドグラスが施されています。


金色のライトも等間隔で設置されていて、照明をつけるといっそう美しいです。

▶美しいタイルや彫刻
イスラム建築物は幾何学文様の美しい装飾が施された壁や天井も特徴。このMasjid Negaraでも、壁や柱に青色を基調とした可愛らしいタイル、そして天井や柱には白色の美しい彫刻が刻まれています。ぜひ隅々まで楽しんでみてください。



床には絨毯が敷き詰められていて、サーモンピンクとベージュを基調としたかわいらしい配色。

この絨毯は汚れや劣化により定期的に張り替えが行われますので、訪れた際は新しいデザインになっているかもしれません。
【メイン礼拝所内の見学】
このMasjid Negaraで皆さんが最も興味を示す場所が、やはりメインの礼拝所です。

▶見学可能エリア
礼拝所内部中心には非イスラム教徒は入場できませんが、入口のドアから少しの距離までは入れますので、そこから美しい礼拝所内部を眺めたり写真撮影もできます。


また、このドア付近には見学者への対応やモスクやイスラムについての簡単な説明をしてくださるスタッフさんが数名いらっしゃいます。基本的にボランティア対応となるため必ずいるわけではないこと、そして英語のみの対応ですが、興味がある方はぜひいろいろ質問してみると親切に対応してくれます。
マレーシアのモスク見学として人気の高いブルーモスクなどでは個々での自由な観覧は許可されず、ある程度人数が集まった時点で日本語もしくは英語のガイドと一緒の見学が必須ですが、このMasjid Negaraではそのようなツアーはなく時間に縛られず自由に見学が可能です。
その一方でイスラムやこのモスクについて詳しく知りたいという方は、後ほど紹介するイスラム情報を共有してくれるコーナーで自身で質問をしてみるなどの工夫が必要です。
▶見学不可の女性専用礼拝スペース
イスラムのモスクでの礼拝は男女が分かれて行うため、入口がそれぞれに分かれています。

男女を仕切りや部屋ごとで完全に別空間にするモスクもありますが、Masjid Negaraではメインの礼拝所の前半分を男性、そして後ろ半分を女性スペースとしてロープや絨毯の模様などで仕切りを設けています。

この女性空間のさらに後ろにはこのような仕切りで隠された女性が礼拝時に行う身支度用のスペースもあります。ここは非イスラム教徒の見学者は入ることはできません。

仕切り内には貸し出し用の礼拝着Telekung(テレクン)や身支度に必要な鏡も置かれています。モスクによってはこの貸し出し用の礼拝着は汚れが目立つなどで身につけたくないものがほとんどのなか、こちらのものはとても綺麗に管理されていてさすがだなという印象でした。


女性のイスラム教徒のなかには、自分の礼拝姿を異性や異教徒に見られたくないという理由からこの空間で礼拝をする方もいます。後ろと前に分けてはいても、構造上から異性の視線を受けることを100%は防げないため、どうしてもという方はこの仕切りから出ることなく礼拝を行います。
この「男性が前に位置し、女性は後ろ」という決まりについて時折、男性の後ろに女性をつかせるなんて男尊女卑で時代錯誤と批判をする非イスラム教徒の意見を目にしますが、そういうわけではありません。
簡単に説明すると、
・イスラムは男女それぞれに異なる役割があり、礼拝の場でもその違いを考慮して男女を分けて礼拝することが推奨されている。
・ただし、礼拝をする場所や人の構成によっては男女が一緒に礼拝することもある。例えば家族は男女一緒に礼拝を行え、その構成によっては女性の指導者がいることもある。
という決まりに沿って行動をしていて、そこに優劣は存在していません。
とはいえ、何も学んでいない人からするとそのように見えることも理解はできます。賛同の有無はともかくとしても、知識を得る機会としてモスク見学の場を生かしてもらえたら個人的には嬉しいです。
【見学時間内に礼拝風景を見られることも】
非イスラム教徒がこのMasjid Negaraを見学できる時間は、基本的にはイスラム教徒の礼拝時間を避けて設定がされています。
ただ、時にはメインの礼拝時間以外でもモスクを訪れて礼拝を行う人がいるため、礼拝所内を見学している際にたまたま礼拝をしている人を目にすることもあるかもしれません。


もし礼拝をしている人に遭遇した場合。普段は目にする機会の少ない礼拝の様子ですので、もし興味があればそのまま見学をしていても全く問題はありません。ただ、その際は見学が許されている時間内とは言え礼拝をする場に足を踏み入れているということを忘れず、静かに邪魔にならないようにそっと見学をするようにしましょう。
【日本語のイスラム情報も入手可能】
モスクでは非イスラム教徒がイスラムを学ぶための場も提供しています。Masjid Negaraではボランティアの方によるイスラムを知るためのコーナーを設置。先述のとおり、このMasjid Negaraでは見学ツアー開催などはありません。モスクやイスラムへの知識をもう少し深めたいとか、有識者の話を聞きたいという方はぜひこのコーナーに立ち寄ってみるといいでしょう。

イスラムの初歩的な知識や各国の言葉に翻訳されたイスラムの経典クルアーンの無料配布も行っています。

なんと日本語版も!これは厳密な翻訳ではなく、現代に生きる人たちにも分かりやすい言葉や表現を使って和訳をしたもので、初心者の方には非常に入りやすい内容だと感じます。小さなサイズで重くもありませんので、興味がある方はぜひ持ち帰ってみてください。クルアーンにどのようなことが書かれているのかを知るだけでも、イスラムについて少し理解が深まるのではないでしょうか。

【マレーシア歴代首相が埋葬される場所】
Masjid Negaraはマレーシアの国立モスク。そのため、マレーシアの要人がお亡くなりになった場合はこのモスクで国葬が行われることがあります。
(※イスラムは死去からできるだけ速やかに葬儀礼拝を行い、そして土葬をすることが最優先事項となるため、状況によっては例外もありえますが)
そして、マレーシアの歴代の首相はこのMasjid Negaraの一角に埋葬されています。メインの礼拝堂の横に伸びるこの廊下の先に、その空間が広がっています。

どのお墓が何代目の首相なのか、表示もありますので興味がある方はお参りに行ってみてください。
【モスクはイスラム教徒が集う憩いの場】
皆さんはモスクをどのような場所と認識していますか?多くの方は「イスラム教徒が礼拝をするために行く場所」という感覚で見ているかもしれませんが、実はモスクはそれだけを目的とした場所ではありません。

礼拝をする以外の信仰を深めるさまざまな行為を行う場所で、たとえばクルアーンを読誦するクラスを開いたり、礼拝で集まったときはその後お互いの信仰の悩みを語ったりしてから帰路に着いたりもします。
イスラムの婚姻誓約式を行ったり、信仰にまつわるイベントが開催されることも。ちょうど私が訪れた日は中庭でHari Raya(ハリ ラヤ)用の撮影が行われていました。

このMasid Negaraでもあちこちに広がる空間の片隅で何人かが集まって座り込み、思い思いに過ごしている様子を見ることもできます。そんな風景を楽しんでみるのも、異文化体験のひとつとしていいのでは?と感じます。
【最後に】
今回は、KLのまさに中心でアクセス抜群な国立モスク、Masjid Negaraをご紹介しました。
モスク内に流れる素敵な雰囲気はやはり自分で足を踏み入れていただくと実感できるものです。興味がある方はぜひ、この記事を参考に訪れていただけたら嬉しいです。