皆様、こんにちは。
2022年5月27日、マレーシアでちょっと珍しいハリ ラヤのオープンハウスが開催されました。とても楽しく、そしてマレーシアらしさに溢れる素敵なイベントでしたのでご紹介します。
- 【コロナ禍の厳しいMCOから生まれた、マレーシア旦那コミュニティ「Suami Masak Apa Hari Ini?」とは?】
- 【二年間の活動の成果を披露!満を持して開催となったオープンハウス】
- 【定番料理から珍しい料理まで!旦那ご飯がずらり勢ぞろい】
- 【尽きないお料理の数々!マレーシア旦那達の本気を見せつけられる】
- 【ホスピタリティ精神溢れるイベントでマレーシアの良さを再確認】
- 【政治家も参加で注目度大!】
- 【見習いたい!ネガティブな出来事も前向きなことに変えていく精神】
- 【最後に】
【コロナ禍の厳しいMCOから生まれた、マレーシア旦那コミュニティ「Suami Masak Apa Hari Ini?」とは?】
今回のオープンハウス主催は、「Suami Masak Apa Hari Ini?」という団体。日本語に直訳すると「旦那、今日何作る?」。意訳をすると「旦那ご飯の会」といった感じでしょうか。一体どんな団体なのかというと…。
上記は公開されているWebサイト。ですが、活動の主なる拠点はFacebookのクローズドコミュニティでメンバーは現時点で約32万人という巨大グループです!
マレーシアでは2020年3月から約2年の間、MCO(Movement Control Order)(活動制限令)と称して外出や活動について厳しい制限が設けられていました。一時期は実質的に外出が禁じられているに等しい時もあり、マレーシア中の家庭がいつも以上に毎日の三食(いや、それ以上ですよね…)のご飯に楽しみを見出すことで変化のなさすぎる日々を乗り切る、という状況に陥っていました。
そんな状況の中、マレーシア人の家庭では日々のご飯作りに楽しみを見出そうと、本格的に料理に挑戦する夫達が急増。私の感覚では、マレーシア人男性はどちらかというと家事全般をこなす人が多い印象ですが、そうは言ってもやはり料理は苦手、という男性も多かったと思います。MCOが長引く中、子だくさんが多いマレーシアの家庭で妻だけに料理を担当してもらうことに支障が出始めたり、時には自分自身も違う趣味や新たな日々の楽しみを見つけたい、という気持ちから料理にトライする男性も増え始めました。
そして、その手料理を披露する場として2020年4月にこのfbページ「Suami Masak Apa Hari Ini?」が発足。基本的には妻であろうと女性は参加不可で、完全なる「旦那のための会」!その後メンバーは増え続け、旦那達が手料理を披露したり、料理について情報交換を行ったり。そして時にはしんどいMCOを乗り切ろうとお互い励まし合ったり愚痴を言ったり、という憩いの場として成長を続けてきました。
我が家の夫ハムザもこのグループに参加しており、時々自分の手料理をUPしてメンバーの方と楽しく交流をしていたようでした。
【二年間の活動の成果を披露!満を持して開催となったオープンハウス】
そんな旦那ご飯の会。これまではオンラインのみで交流をしていたわけですが、2022年4月、ついにMCOが実質的に終わりを迎え、人々が自由に集まることができる世の中が戻ってきました!そこで、2022年5月のラマダン月明けのHari Raya Aidilfitri(ハリ ラヤ アイディルフィトリ)の時期に合わせてオープンハウスを開催することが決定。
*「オープンハウス」とは?
マレーシアのお祝いの際によく開かれる「オープンハウス」。日本では馴染みのないイベントですが、普段お世話になっている方や親戚を自宅に招いたり、職場単位で会場をレンタルして開催するカジュアルな食事会で、ハリ ラヤ中は主に週末に盛んに開催されます。
私達もこのようなオープンハウスイベントを開催しました。
「旦那ご飯の会」のオープンハウスですから、もちろんお料理の披露も兼ねてのイベント!二年間それぞれがあたためてきた腕前を披露する場になるということで、まさに満を持してのオフラインイベント開催となりました。
コミュニティの発足以来、初めてのオフライン交流の場となること。そして開催日に向けて出店内容が明らかになるにつれてかなり盛大なオープンハウスになることが分かってくると、ハムザは楽しみでたまらない様子で。
コミュニティ自体は女人禁制ですが、このオープンハウスは家族やお友達誰でも参加OKという太っ腹ぶりだったので、マレーカルチャーやマレー料理に興味がありそうな私の日本のお友達も誘ってみたら、と言ってくれて。当日は総勢7人で参加しました!
【定番料理から珍しい料理まで!旦那ご飯がずらり勢ぞろい】
迎えた当日。
会場となったCyberjayaのショッピングモール屋上に着くと、まだ始まったばかりにも関わらず大勢の人ですでにテーブルはほぼ満席!かなり広い会場なのにこの盛況ぶりで、素晴らしいです。
早速お料理を見に行ってみると…。美味しそうなマレーシア料理の数々が用意され、どれも本当に綺麗にディスプレイされていました。
食べ始めた頃には会場が暗くて肝心のお料理写真が少ないのが悔やまれますが…、ほんの一部をご紹介!
大好きなTerengganu州(トレンガヌ州)のラクサ、Laksam(ラクサム)。
普段売られていることはあまりない、珍しいウツボカズラのLemang(レマン)。
レマンと合わせていただくRendang(ルンダン)。
お米のキューブとピーナッツソースを一緒にいただく、Nasi Inpit(ナシ インピッ)とKuah Kacang(クア カチャン)。
マレーシア料理には欠かせない!Nasi Kandar(ナシ カンダー)。
オープンハウスの定番!クリーミーな黄色いスープが美味しいLongtong(ロントン)。
デザートも!Cendol(チェンドル)はその場で作ってくれます。
【尽きないお料理の数々!マレーシア旦那達の本気を見せつけられる】
ハムザがfbページを見ながら「色々なマレーシア料理が用意されるみたいですごく楽しみ!」と言っていたのですが、私自身も東京でなかなかな人数が参加するイベントを主催した経験もあることから、大勢の人が来るし開催時間は約4時間と長いし、早い時間でお料理が尽きたりしないんだろうか…と実は心配にもなっていたのです。
ところが、かなり遅い時間になってもお料理は全く尽きることはなく。それどころか先ほどはなかったと思われる新しいお料理が並んでいたりと、どれだけの量を用意したのだろうかと感心しきりでした。
聞けば、お料理担当の方の中には料理を生業としている方もいるそうで、皆さん準備もお手の物だそうで。しかしながら、もちろん本業は別にあって趣味としてこのイベントのお料理を用意されている方も一定数おり、プロアマ問わず、皆さん本当にスキルが高くて感心しました。味のレベルが高いことはもちろんですが、これだけの規模のイベントに対応できる準備をこなせることに脱帽。イベントやアドリブに強く、フレキシブル対応なら任せろ!というマレーシア旦那達の本気を見せつけられた感じでした。
【ホスピタリティ精神溢れるイベントでマレーシアの良さを再確認】
今回のオープンハウス、なんと1,000人ほどの参加者だったそうで、これだけの規模となると、当日はお料理を用意・サーブする人だけではなく、会場運営など様々なスタッフが必要となるわけで。そのスタッフさん達も全てこの「Suami Masak Apa Hari Ini?」コミュニティのメンバーで、滞りなく回っていました。
もちろん全員「旦那」ということで男性諸君たちが動き回っているのですが、皆さんとても感じが良くて優しく、こちらがちょっと困ってうろうろしていると「どうしたの?何が必要?」と笑顔で、そして頼もしく声掛けをしてくれます。優しい笑顔とジョークも交えた楽しい受け応えのやり取りがあったりと、本当に楽しく良い時間を過ごしました。皆さん今日のために気合いの入った民族衣装Baju Melayu(バジュ メラユ)を身に纏っていたので、カッコよさ100倍!というのも素敵でした。
そうそう、お料理に混ざってこの会のために作ったと思われるロゴ入りエプロンやTシャツも販売していました。
こういうグッズが大好きなハムザはもちろん購入したのですが、私が後から一人でそのカウンターに赴いてエプロンを見ていたら、「旦那さんに買ってあげるの?プレゼントなら半額にするよ!」と、私に総勢4人がかりでニコニコと笑い溢れる接客をしてもらったのが本当に面白かったです(笑)。
売り切りたい気持ちがあることはもちろん分かっていますが、それだけじゃなく、いつも笑いや優しさを惜しみなく前面に出しながら人と接してくれるところ、マレーシア人の良い所だなあと常日頃感じています。
【政治家も参加で注目度大!】
このオープンハウス、なんとコミュニティに参加をしている政治家が当日ご挨拶にいらしたりと、マレーシアでも注目を集めたようです。当日はメディアの取材も入り、ネットニュースで取り上げられたり、SNSでも数多く投稿されたりと盛り上がりました!
私もちょっと登場していて、ハムザは自分が参加しているコミュニティなのに自分は載っていないのに妻の私が載ってると笑っていました。
【見習いたい!ネガティブな出来事も前向きなことに変えていく精神】
とても楽しい時間を過ごすことができた「Suami Masak Apa Hari Ini?」、「旦那ご飯の会」のオープンハウス。とても楽しい、と何度も書きましたが、そもそもこの会のきっかけは長きに渡って自由な暮らしが制限されたMCO。
厳しい制限が続いたマレーシアのMCOは、その二年の間に様々な問題も起こりました。笑って話すことができないようなしんどい時期も皆経験したと思うし、一体この籠り続ける暮らしに終わりは来るのかな?と悲観的に捉えてしまった人もいたのではないかと感じます。
マレーシア人達も精神面で色々と重くのしかかるものがあったのではないかと思いますが、そんな中でもそのネガティブに感じるあれこれをできるだけ楽しいことに、笑いを生み出せるように発想を転換していく姿勢は、大いに学ぶものがあります。
日々の中で欠かすことのできない「食べる」ことに今までにない楽しみを見出して、家族がこの閉塞感ある暮らしを乗り切っていけるように。そんな姿勢から生まれたのがこの「Suami Masak Apa Hari Ini?」なのだなあと。
彼らが自分達の作ったご飯を披露してああでもこうでもないとオンラインで話をするその時間は、彼らにとっても良い時間になっていたのだろうし、同時に家族にとっても、結果的に良い形で共に時間を過ごせるようになる貴重なコミュニティに成長していったのだと感じます。
今回のオープンハウスに参加をして楽しい時間を過ごすことができ、起きている事象に文句を言ったり後ろ向きに捉えるよりも、楽しいことを見出して今後の糧にしていくほうが人生豊かになる、ということを改めて彼らから教えてもらったように思います。
【最後に】
今回お届けした、「Suami Masak Apa Hari Ini?」のオープンハウス。今後もこの活動は継続し、なんと近々ペナンでのイベントも開催が予定されているそうですよ。
頼もしく、そして笑いに満ちたマレーシア旦那達の今後の活躍に期待しています!