皆様、こんにちは。
常夏の国マレーシアでいただける、ちょっと風変わりなかき氷Cendol(チェンドル)をご存じですか?
今回は、KL(クアラ ルンプール)から少し離れた町Seremban(スレンバン/セレンバン)でいただけるおいしいチェンドル屋さんをご紹介します。
- 【チェンドルとは?マレーシア伝統スイーツ】
- 【不思議な緑のにょろにょろ、チェンドル】
- 【歴史あるスレンバンの人気チェンドル店「Haji Shariff Cendol」】
- 【最後は濃厚ココナッツミルクジュース!チェンドルの楽しみ方】
- 【チェンドルの種類&注文方法:トッピングで自分好みのチェンドルを】
- 【チェンドルのオーダー方法&待ち時間】
- 【チェンドルと一緒に食べたい甘辛なロジャッ】
- 【ロジャッ=混ぜ合わせる/エリアで味も変化】
- 【スレンバン紹介:多民族&多文化が混在する町の魅力】
- 【最後に】
【チェンドルとは?マレーシア伝統スイーツ】
まず最初に、チェンドルとは?
簡単に言えばココナッツミルクをたっぷりと使ったかき氷。Gula Melaka(グラ マラカ)と呼ばれる椰子砂糖で作る黒蜜シロップをかけることで、コクのある甘みが楽しめるデザートです。
と、さらっと書きましたが、特筆すべきはなんと言ってもそのビジュアル。
多くの日本人が「このにょろにょろは何ですか?」と尋ねる、緑の物体。これこそがデザートの名前にもなっている主役の「チェンドル」です。
【不思議な緑のにょろにょろ、チェンドル】
この緑色のチェンドルの正体は緑豆粉。その緑豆粉を練った生地に軽くパンダンリーフで色付けし、穴がある器具を使ってところてんのように押し出したゼリーのようなものです。
マレーシアのスーパーや市場などではこんなふうに売られています。
その見た目に最初はたじろぐ外国人がいることは事実ですが(笑)、食べてみるとあっさりでつるんとした食感がとても食べやすく、気に入る人も多いです。
そして、準主役となるのが先ほども述べたマレーシアの椰子砂糖グラ マラカ。ココナッツミルクとの相性が抜群で、このグラ マラカのシロップとココナッツミルクの溶け具合で生み出される深いハーモニーがチェンドルの味の決め手ともなっています。
【歴史あるスレンバンの人気チェンドル店「Haji Shariff Cendol」】
チェンドルはマレーシア各地でいただけますが、今回ご紹介するお店はこちら。
Negeri Sembilan州(ヌグリ スンビラン州)の州都Seremban(スレンバン/セレンバン)にある「Haji Shariff Cendol」です。
創業は1930年。屋台で始めたお店が徐々に人気を得て現在の店舗を構えるまでになった老舗店です。経営はMamak(ママック)と呼ばれるインド系。
ママックはインド系のイスラム教徒の総称。マレーシアには多くのインド系マレーシア人が暮らしていますが、大きくはこのママックとヒンドゥー教徒に分かれています。(クリスチャンや他信仰を持つ方もいらっしゃいます。)
現在の店舗はグリーンを基調としたとてもすてきな外観で、存在感を放っています!
スレンバンのメインストリートとなるエリアにあるこちらのお店。とても人気店で、地元の人はもちろん遠方からのお客さんで店内はいつも大にぎわい。店内もグリーンを基調としていてかわいいです。
お店の隣に民間運営の駐車場もありますが、停めているのはほぼこのお店を訪れているお客さんです(笑)。
【最後は濃厚ココナッツミルクジュース!チェンドルの楽しみ方】
今回オーダーしたのはこちら、Cendol Kacang(チェンドル カチャン)です。
カチャンは豆。小豆はKachang Merah(カチャン メラ/赤い豆)なのですが、チェンドル屋さんでは省略されることがほとんどで、カチャンと言ったら小豆がトッピングになることが一般的です。
日本人にとって小豆は当たり前に食べていた食材。お汁粉やたい焼き、そしてかき氷のトッピングにもよく登場するので、懐かしい味に感じるでしょう。
サーブされた直後はトッピング、氷、ココナッツミルク、チェンドル、そしてグラ マラカがそれぞれ存在感を主張しているので少しずつ混ぜていただきます。最初はココナッツミルクの濃さが非常においしく、小豆を浸しながらいただくとちょっと冷やしお汁粉みたいです!
だんだんと氷が解け始めてそれぞれがしっかりと混ざり始めたら、レンゲでジュースをすくうようにいただきます。グラ マラカがしっかりと溶け、チェンドルのほんのりパンダン味と相まってまた違った味わいに。最後はまさにココナッツミルクのジュースを飲んでいるような感覚に。
この、数段階に渡って味を楽しめることもチェンドルの魅力です。
【チェンドルの種類&注文方法:トッピングで自分好みのチェンドルを】
こちらのお店のメニューにはいろいろなトッピングがあります。
Cendol Biasa(ビアサ)=トッピングはない、普通のチェンドル+グラ マラカのみのシンプルなもの。
Cendol Pulut(プルッ)=もち米入り(お米?と戸惑うかもですが、もちっとしたお米とココナッツミルクはとても合います!)
Cendol Kacang=小豆入り
Cendol Jagung(ジャグン)=とうもろこし入り(マレーシアでは、とうもろこしはスイーツのカテゴリが多いです!)
Cendol Campur(チャンプル)=基本的に上記全部乗せ。
Cendol Bandung(バンドゥン)=おそらくあのピンク色のSirap(シラップ)を使った何かと想像しますが、マレーシアでこのメニューを見たこと&頼んだことがないので分からずです…(分かる読者の方がいたらぜひ教えてください!)
また、このメニューにあるチェンドルにプラスしてトッピングをすることも可能です。例えばもち米入りのチェンドル プルッにカチャン(小豆)を足して、とかジャグン(とうもろこし)は二倍にしてほしい、といった具合に。
注文の際に「Tambah(タンバ) ○○」と伝えれば、「○○を追加して」という意味で伝わります。
【チェンドルのオーダー方法&待ち時間】
このお店、いつもレジ前は行列なのですがそこまで待ち時間は長くないのでご安心ください。レジカウンターに並び、順番が来たら口頭で注文をして支払いをします。
大量注文でない限り、注文と同時にチェンドルを作ってくれて支払いと同時にその場で受け取れます。大量の場合は席に持ってきてくれることもありますが、基本的にはセルフサービススタイルです。
食べ終わったらさっと席を立つ方が多く長居をする人は少ない印象ですが、あまり空席がない場合もあるかと。その場合は、同行者がいれば一人が席を取って一人がレジに並ぶというスタイルがおすすめです。
【チェンドルと一緒に食べたい甘辛なロジャッ】
今回ご紹介したチェンドルと合わせて多くの方が頼むメニュー、Rojak(ロジャッ)。Rojakはマレー語で「混ぜ合わせる」といった意味の言葉で、インド系のチェンドル屋さんには必ずセットで用意があるメニューです。
マレーシア人たちにとってロジャッはチェンドルと同じくおやつのような感覚の食べ物。そしてどういう経緯かは分からないのですが、チェンドル屋さんでは甘いチェンドルとともにこのロジャッを頼み、交互に楽しむというスタイルが王道とされています。
こちらのお店でももちろんロジャッがいただけます。注文カウンタ―が違うので、同じ店内にあるこのストールにて注文します。
こちらがそのロジャッです。
ソースで隠れて具が見えませんが、厚揚げ、天ぷらよりはちょっと重めの野菜の揚げたもの、そしてロジャッに欠かせない蕪のような生野菜Sengkuang(スンクアン)とキュウリを刻んたものがたっぷり!こちらのお店では卵が丸ごと一個もついてきました。これはないお店も多いので嬉しいです。が、結構なボリュームですね(笑)。
ソースがなんとも独特な味わいで、甘いのか辛いのか…その両方を行ったり来たりする味で、日本人の味覚にとっては新鮮ですが結構濃厚です。甘みも辛みもあるけど同時に酸味も少しあり、野菜としっかり混ぜ合わせていただくのがおすすめです。
先ほども書いた通り、ロジャッはマレーシア人たちにとってはおやつの位置づけ。ですが、私にはどちらかというとちょっと重めのサラダ、という感じで正直チェンドルで十分ということがほとんどです(笑)。
【ロジャッ=混ぜ合わせる/エリアで味も変化】
このロジャッという料理、実は食べるエリアや店によって味やスタイルが変化しまくることが特徴です。
インド系ママックのスタイルがあることは大前提としながらも、そのママックが多いペナンのではペナン独自の名称となるPassembur(パッセンボー)と料理名まで変化します。知らない方はその単語のみからはロジャッとパッセンボーが実は同じルーツの料理だとは思わないですよね。
それぞれ具や味が違うロジャッが存在するということを知らない外国人などは、以前に食べたロジャッが美味しかったから~と別のお店で頼んでみたら見た目も味もなんか違うものが出てきた!ということはまあまああることです(笑)
一つの名称の料理でこれだけのバリエーションが存在してしまうこと、これぞまさに多民族が暮らすマレーシアを具現化した料理なのかなと感じてしまいます。そもそもRojakというマレー語も「混ぜ合わせる」とか「混ぜこぜ」といった意味の言葉ですしね。
【スレンバン紹介:多民族&多文化が混在する町の魅力】
最後に、スレンバンてどんな町?という方も多いと思うので、少しだけ解説を。
スレンバンは、KLとMelaka州(ムラカ州)の中間くらいに位置する町です。
何か特別な観光地があるというわけではないながらもインド系の存在感が目立ち、そこに華系やマレー系、そしてインドネシア、特にミナンカバウの文化が色濃く混在する面白い町です。
町の中心には古いショップハウスが多く残り、今も店舗や事務所などとして活用されています。私はマレーシアの古き良き雰囲気が残る町を歩くことが大好物なので、このような雰囲気の町はいくらでも歩けてしまいそう。
KLからだと、日帰りも可能なビーチPort Dickson(ポート ディクソン)やマレー半島では屈指の観光地となるマラッカへ車で向かう際のアクセス途中で立ち寄ることも可能です。
また、KTM(Keretapi Tanah Melayu/Malayan Railways)(通称:マレー鉄道)の駅もありますので、時間に余裕があってのんびり鉄道旅を楽しみたいという方にはぜひおすすめしたい町でもあります。駅ものどかでいいですよ。
スレンバンについてもう少し知りたい、という方はぜひこちらの記事もご参照ください。
【最後に】
KLから少し離れた町スレンバンでいただけるおいしいマレーシアのかき氷チェンドルをご紹介しました。
ドライブや町歩きの休憩にぜひ、地元の人たちに混ざって濃厚なココナッツミルクかき氷を楽しんでみてください。