皆様、こんにちは。
今日は、マレーシアでよく目にするイスラムの女性達がまとっている髪を覆うスカーフ、「Hijab」(ヒジャブ)を購入する際に知っておくと迷わず選べる(かもしれない)豆知識あれこれをご紹介をします。
- 【マレーシアのイスラム女性達がまとうヒジャブ】
- 【ヒジャブと洋服は全身トータルコーディネート】
- 【ヒジャブショップはカラーの洪水!】
- 【サイズやカラー、素材も豊富なヒジャブ】
- 【ヒジャブを綺麗に巻くための小物アイテム】
- 【イスラム教徒以外がお買い物をしてもいいの?】
- 【最後に】
【マレーシアのイスラム女性達がまとうヒジャブ】
マレーシアは人口の約64%がイスラム教徒で構成されるイスラムを国教とした国。
イスラムの訓えには女性が髪や肌を異性の視線から隠すことが推奨されている内容があり(義務ではありません)、その訓えを守って暮らしているイスラムの女性も多いです。
そのため、マレーシアの町を歩くと女性達は頭に色とりどりのスカーフを巻き、髪を見せないようにしている光景がよく見られます。
このスカーフをHijab(ヒジャブ)と呼びます。ヒジャブはアラビア語で「覆うもの」という意味で世界共通の呼び方ですが、各国それぞれの呼び方もあり、ここマレーシアではマレー語での呼称でTudung(トゥドゥン)と言います。ヒジャブ、トゥドゥンともにマレーシアの人たちに対しては通用する言い方ですので、どちらの呼び方を使用しても問題はありません。
【ヒジャブと洋服は全身トータルコーディネート】
私たちイスラムの女性にとって、基本的に外出時はまとうことになるこのヒジャブ。ヒジャブへの価値観は同じイスラムであっても国や地域が変わると捉え方もさまざまではあるのですが、ここマレーシアのイスラムの女性達にとってのヒジャブは、髪の毛を隠すことのみならずファッションアイテムの一つとなっています。そのため、外出時のコーディネートを決める際には必ずヒジャブのカラーや柄、巻き方までをワンセットで考えるものとなっています。
私もそうなのですが、洋服を買う時は必ず手持ちのヒジャブのカラーバリエーションを考え、逆にヒジャブを買う時は手持ちの洋服に合うだろうか?と考えながら選びます。
このマレーシア女性達のコーディネートを見ても分かると思いますが、マレーシアのイスラム女性達は洋服とヒジャブの組み合わせ方が本当にお見事で、カラフルかつ絶妙な色の掛け合わせで全身を整えています。
【ヒジャブショップはカラーの洪水!】
洋服と同じように毎日身にまとうヒジャブですので、町中に洋服のショップが溢れているのと同じように当然ながらヒジャブ ショップもたくさんあります。今回は、町中でよく目にする基本スタイルのお店をご紹介します。
店内に一歩足を踏み入れると、ずらっとディスプレイされたカラフルなヒジャブのカラーの多さに圧倒されます。
ヒジャブ ショップですので当然ながらメイン商品となるヒジャブの品ぞろえが重要。見応えのあるお店ですと、このようなカラーバリエーションで色見本のような圧巻なディスプレイが多く見られます。
私はいつも「今日はパープルのヒジャブを買う!」と決めていったにも関わらず、あまりのカラーの多さ、そして同じカラーでも微妙に違うカラーバリエーションに大いに迷いが生じて決められずうんうん一時間以上悩んでみたり、悩んだ挙句思考が混乱してしまって全く予定していなかったカラーや柄を買ってしまったことも(しかも何枚も!)多々あります(笑)。
【サイズやカラー、素材も豊富なヒジャブ】
ヒジャブの種類は実はとても豊富。細かい違いまで全て説明することは難しいのですが、ざっくりでも違いが分かると目的に合わせて選びやすくなりますので、今回は大まかな違いや見分け方をお伝えします。
▶サイズや形
一枚の布を巻いているように見えるヒジャブも、実はさまざまな形や大きさ(サイズ)があります。この違いを把握しておくだけでも、自分がどんなふうに巻きたいかというイメージに合わせてヒジャブ選びができます。
▷Bawal(バワル)=正方形型
Bawal(バワル)は正方形の意味。つまり真四角タイプのヒジャブです。
大きさはいくつかありますが、基本的には一片が120〜150cm程度はあるかなり大判のサイズ。一度真ん中で三角に折り込んでから巻くのが主流のスタイルです。
バワルを巻いた時のイメージです。
▷Selendang(スルンダン)/Shawl(ショール)=長方形型
Selendang(スルンダン)は長方形の意味。Shawl(ショール)と明記されることも多い縦長なタイプです。
こちらも長さは何種類かありますが、基本的には170〜200cm程度ある長さを利用して2~3回顔回りに巻き付ける巻き方をします。
スルンダン/ショールを巻いた時のイメージです。
▷Instant(インスタント)=簡易型(被るだけ)
Instant(インスタント)は、一枚のスカーフをピンや待ち針などを使って巻くのではなく、すでに形が整っている簡易型ヒジャブです。
モスク見学の際に非ムスリマに用意されたヒジャブはこのスタイルが多いため、着けたことがある方も多いのではないでしょうか。この上のくり抜かれている部分に顔を入れるだけなのでとても簡単です。一度もヒジャブを巻いたことがない!という方であれば最初はこれが最もハードルが低いスタイルでしょう。
簡易型と言いながらも、実はこれもサイズがいろいろあります。
顔の部分の空き具合も大小のサイズがあり(多少の緩みはピンで調整できます)、下に垂らすスカーフの部分も短いものから長いものまで。胸の周りを含めた上半身は全て体のラインが見えないように隠したい女性もいるため、このようなサイズ展開にもなっています。
簡易型と侮るなかれで、柄や装飾も結構豊富です。
被るだけと簡単な分、好きなようにアレンジして巻くことができないためどうしてもファッション性の部分ではわくわく感は薄れる部分もあるのとは感じますが、やはり簡単に形が整うのはありがたいですよね。ご年配で体の自由がききずらくなってきた方や、育児中で子供が触るから危ないピンなど使えないというお母さんも愛用していたりします。
私は子育てもしてませんし普段そこまで時間に追われているわけではないので、このインスタントを使うことはほとんどありません。とは言え、例えば病院で検査など何度も脱着があると分かっている時や具合が悪くて綺麗に巻く元気ない!みたいな時は活用しています。また最近ではパッと見はインスタントっぽくなく、ちゃんと巻いているようなデザイン性に優れた商品も見かけるようになっています。
▶素材と価格
素材はシルク、シフォン、ナイロン、コットンなどさまざま。服やTPO、好みで使い分けています。マレーシアは高温多湿の気候ですので厚手素材のものはあまり好まれず、顔回りに巻いた時にさほど負担にならず、汗も適度に吸ってくれる。それでいて髪や肌はしっかり覆えるだけの適度な薄さのヒジャブが使い勝手が良く、多く売られています。
そしてお値段ですが、これは本当にピンキリ。当然ながらシルクは少し値が張り、一枚RM50~100程度以上からかなりな高額なものまでいろいろとあります。
最近は芸能人や女性タレントなどがプロデュースするヒジャブブランドもあり、そのあたりだと素材も手触りが良くて当然ながら価格も上がりますが、プレゼントなどにはいいなと感じます。
一方シフォンやコットンは普段使い用で安価なものも多く、飾りもなくシンプルなタイプなら一枚RM10程度から売っています。安いものはいまいちかと言うとそんなこともなく、しっかりした物も多く十分使い勝手も悪くありません。
ヒジャブはファンデーションがついたり食事の際にシミを作ってしまうなど結構汚れることもあります。そのため、日常用はある程度消耗品と割り切って比較的安めのものを使用し、結婚式やお呼ばれの時などは上質のものを巻くという感じで使い分けをする女性が多いです。
安さを売りにしているショップだと約RM4という最安値では?という低価格で売られていることもありますが、このくらいの価格になると正直ちょっとペラペラすぎたり縫製もほつれが目立つなど、安かろう悪かろうになるようです。
▶デザイン
ヒジャブは巻く際に無地や柄など何か決まりがあるわけではありませんので、柄物やラインストーンやビーズが施されたタイプなど、煌びやかなデザインのものも多く売られています。
▷無地
マレーシアの民族衣装Baju Kurung(バジュ クルン)はカラフルかつ柄も入ったデザインの物も多いため、ヒジャブは無地を合わせることも多くなります。
普段使いでも持っていて無難ということもあってシンプルな無地は時代を問わず人気です。
▷柄デザイン
一方で、シンプルな普段着に合わせるような柄物も豊富。
この数年の柄物の流行傾向としては、小さめの幾何学模様や草木花模様が人気です。
私がヒジャブを巻き始めた2015年くらいの頃はまだ大きな花柄などが人気だったと記憶していますが、この10年ほどで少し落ち着いた雰囲気になっています(笑)。
▷マレーシア愛溢れる国旗モチーフヒジャブ
マレーシアを歩いていたら必ず目に入るマレーシア国旗。マレーシア人がこよなく愛するその国旗をモチーフにしたヒジャブも多く売られています!
ヒジャブショップでは一年を通してわりと手に入りますが、店頭にたくさんの商品が並ぶのはやはりマレーシアの独立記念日となる8月31日のHari Merdeka(ハリ ムルデカ)前あたりから、マレーシア全土の成立を祝う日9月16日のHari Malaysia(ハリ マレーシア)あたりまで。
私も今年はかわいい国旗ヒジャブを見つけたので、一枚買ってみました。マレーシアへの愛を強くアピールしたい気分の外出の時は巻こう!と思っているところです。
【ヒジャブを綺麗に巻くための小物アイテム】
ここまでご紹介をした内容はすべてヒジャブでしたが、ヒジャブ ショップにはそれ以外にもヒジャブを巻く際に活用する小物もいろいろ売られています。
▶インナー ヒジャブ/Anak Tudung(アナッ トゥドゥン)
初めて聞く方も多いかもしれませんがインナー ヒジャブとはヒジャブを巻く際に髪をまとめて被る帽子のようなアイテムです。
マレー語では「Anak Tudung」(アナッ トゥドゥン)と呼ばれています。
ヒジャブを髪の上から直接巻いちゃダメなの?と思う方もいると思いますが、実際に巻いてみたことがある方ならお分かりになるかもしれません。
髪の上に直にヒジャブを巻くと、だいたいの素材のヒジャブはつるつると髪の上で滑り、ずり落ちていきます。シルクやナイロンならあっという間に落ちてしまいますし、コットン素材だったらアゴ部分をピンでしっかり留めれば一時間くらいは保つかな?程度の脆弱さです(笑)。「髪を隠すため」に巻くものですので、それでは役目を果たせません。
ということで、この下着とも言えるインナー ヒジャブを先に被り、その上からヒジャブを巻いてピンや針などで両方を固定してずり落ちないようにしています。このインナー ヒジャブも、ヒジャブのカラーに合わせて浮かないカラーを合わせるためカラーバリエーションはとても豊富です。私も手持ちのヒジャブのカラーの系統に合わせ10枚以上は所有しています!
ヒジャブを日常使いしている女性にとってはいわば下着と同じような位置づけになりますので、マレーシアで展開をするアパレルのブランドも需要に応えるように商品展開をしています。
これはマレーシアの「MUJI」(無印良品)で売られているインナーヒジャブ。日本では販売されていない商品です。
▶ポニーテール用のエクステンション
ヒジャブを巻いた際に後頭部を少し盛り上げるための小道具、それがこのエクステンションです。
こんな感じでインナーヒジャブに装着されている場合もあれば、シュシュのような形状で自分で髪に巻き付けるエクステンションのみのタイプもあります。
イスラムの女性はヒジャブを外すとショートカットやセミロングという方も大勢います。このエクステンション、つまりお団子を追加することでヒジャブを巻く際のシルエットを変えるなどのファッションを楽しんだりもしているのです。もちろん後頭部を盛り上げず、ストンと頭の形そのままで巻いてもなんら問題はありません。
▶ヒジャブ ピン
ヒジャブ ショップに行くと、ヒジャブのカラーバリエーション以外にもうひとつ目を奪われるキラキラ感満載なコーナーが。それがヒジャブ ピン売り場です!
ヒジャブを巻く時に固定するためのヒジャブ ピンは、欠かせないアイテム。どのお店もものすごい数が売られていますので、見ているだけでも楽しいし選び始めたらなかなか終わらないスポットでもあります。
デザインも多様で、ポップなものから落ち着いた雰囲気のものまで豊富。値段はお店によっては結構幅があるのですが、5個でRM6とか10個でRM8などだいたい非常に安価。大きなものになると1個でRM5~RM10程度のものもあります。
購入する場合の豆知識としてひとつ伝授しますと、小さめのピンなら二個同じものをワンセットで選んでおくと何かと便利です。
一個使いでも活用できることはもちろんですが、例えば両肩で留めたい、二つ上下で留めたいなどということがヒジャブを留める際は多いのです。そんな時に同じデザインが二つそろっていると便利、かつコーディネートも楽しくなります。
▶まち針
先ほどインナーヒジャブの紹介の際に記した「ヒジャブを巻いてピンや針などで両方を固定」の際に使用するまち針も、ヒジャブ ショップに売られています。
まち針は手芸店でももちろん売られていますが、ヒジャブショップにあるものは留め具部分が目立たないように小さくなっているため、ヒジャブを留める際に邪魔にならずおすすめです。
このまち針を1~2カ所、崩れては困る部分に使用してインナーヒジャブとヒジャブをしっかり固定することが崩れない最大のポイントです!
【イスラム教徒以外がお買い物をしてもいいの?】
いろいろとご紹介をしてきたヒジャブ ショップ。基本的にはイスラムの女性達がお買い物をする場ではありますが、もちろんイスラム教徒ではない方が入ってお買い物をしても問題はありません。
よく「イスラム教徒じゃないのに買ったら失礼かな?」とか「イスラム教徒じゃないのにお店に入っていいの?」と聞かれるのですが、ご安心を。見るだけで入ってみても問題はありませんし、もちろんお買い物をしても大丈夫です。
お店にもよりますが、中にはイスラムに興味を持ってくれたのかと喜んで対応してくれるスタッフさんもいますし、イスラムに興味があるわけではないけれど単にお土産で買いたい、などの場合でもとても親切に説明してくれるスタッフさんもいます。もちろん、ずっと放っておいてくれて好きにどうぞスタイルの場合もあります(笑)。
ヒジャブやヒジャブ ピンはイスラムの女性達が髪を覆うために使うアイテムではありますが、イスラム教徒ではない女性達が別の用途で使用もできます。
例えばヒジャブはかなり大判サイズなのでスカーフとして使用したり、ヒジャブ ピンはキラキラとしてかわいいですから、ブローチのように身につけるという使い方もいいですね。
そしてもちろん、本来の目的である髪に巻いてみるという方法も。もしご興味があればやってみるのも一つの経験として楽しいかもしれません。
もし巻き方を知りたいと思ったらヒジャブ ショップのスタッフさんに聞いてみるときっと教えてくれるでしょうし、何なら私がお教えもできます。
私がご案内している「JJCBK-民族衣装Baju Kurung(バジュ クルン)お買い物プチツアー」では、バジュ クルンでモスク見学に行く際などに使えるヒジャブも一緒に購入したいというお声も時々いただきます。ご要望があればヒジャブショップに一緒に行き、色を合わせたりその場で巻き方をお伝えもできますので、もしご興味があればぜひご連絡ください。
【最後に】
イスラムの女性が日常的に訪れるマレーシアのヒジャブ ショップ。ご紹介をした通り、ひとたび足を踏み入れたらなかなか帰ることが難しい、とても楽しいスポットです!
マレーシアの町のあちこちに見かけると思いますので、見つけたらぜひこの記事を参考にしながらお買い物を楽しんでみてください。